美容室の経営で使われる言葉は、たいてい感覚的です。手応えがある、忙しい、今月はきつい。数字はあるのに、判断に使われていない。中戸大修が引き継いだ2店舗も、そういう状態だったといいます。

本人は美容師ではありません。大学卒業後に東芝へ入社し、26歳で独立。金融、インターネットマーケティングと領域を移したうえで美容事業に入っています。つまり、美容業界の外側から来た人間が、外側の道具で立て直したことになります。

このインタビューでは、その道具が具体的に何だったのかを聞きました。破綻寸前の2店舗をどう見立てたのか。何をやめて、代わりに何を見たのか。1年で10店舗まで広がったあと、いま美容室11店舗を経営しながら何を作っているのか。回答は、できるかぎり本人の言葉のまま載せています。

CHAPTER 01

原点|東芝から独立まで

中戸大修のキャリアは、美容とはまったく関係のないところから始まっている。大学を出て入ったのは東芝。そこから独立したのが26歳のときだった。独立後に手がけたのは金融、そしてインターネットマーケティング。美容事業はそのあとに来る。

Q大学卒業後、東芝に入社されています。なぜその会社だったのですか?

大手に入りたかったのが一番で、その時はこれをやりたいというのがありませんでした。

Qそこから独立されます。26歳での独立に、不安はありませんでしたか?

不安はなかったです。当時から営業が得意で、副業で稼いでいたからです。

Q金融、インターネットマーケティング、美容事業。分野が大きく変わっていますが、どう移っていったのですか?

当時はマーケティングの書物を読み漁りました。なのでテストでいろんな事業をやったので、焦りとかはなかったです。ただ独立したのが26歳だったので若さもありましたし、その時は猪突猛進的な感じでやってました。

「テストでいろんな事業をやったので、焦りとかはなかったです」
独立からの数年について
CHAPTER 02

転機|破綻寸前の2店舗を引き継ぐ

美容事業で引き継いだのは、破綻寸前の2店舗だった。美容業界そのものが初めてだったという。ここからの数か月が、その後の10店舗を決めることになる。

Q引き継いだ2店舗は、どんな状態でしたか?

採用も厳しい、新規もこない状態でしたので、かなり厳しい状態でした。美容業界は初めてでしたが、まずは新規の流入を安定させることから始めて、次回予約など全てを数字で把握することから始めました。いわゆるLTVをちゃんと計測することで、新規獲得でお金がかかっても、後で取り返せばいいんだよ、ということを数字で経営陣に示しました。

「新規獲得でお金がかかっても、
後で取り返せばいいんだよ」
LTVを数字で示すということ

Q立て直すときに「やめたこと」と、逆に「見始めたこと」を教えてください。

まずやめたのは、目の前の新規が何人きたかという一喜一憂。ではなく、その後いかに継続したかというLTVを見たのが、良い結果を出せたのではないかと思います。

Q最初に効いた打ち手は何でしたか?

コンセプトの打ち出しだと思います。他ではない白髪染めに特化した美容室として打ち出したのが、差別化したと思います。

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CHAPTER 03

拡大|1年で10店舗へ

破綻寸前だった2店舗は、1年で10店舗になった。特別な技術や立地が手に入ったわけではない。違ったのは、経営が何を見ていたかだけだった。

Qなぜ1年で10店舗まで広げられたのですか?

まず顧客を数値化したこと。これに尽きると思います。

「まず顧客を数値化したこと。
これに尽きると思います」
1年で10店舗になった理由

Qその過程で、一番きつかったことは何ですか?

店舗ビジネスを始めるにあたって、一番大変だったのはキャッシュフローですね。広告費のハンドリングが割と難しく苦労しましたが、今では解消してます。

CHAPTER 04

いま|数字とAIで経営する

現在、中戸大修は美容室11店舗を経営しながら、株式会社デキルファクトリーの取締役CMOを務めている。同社の自社プロダクトが、美容室の数字を把握するツール「ネクストボード」だ。

Qいまの美容室経営を見ていて、もったいないと思うことはありますか?

数字を軽視しているところが、最ももったいないなと思います。というのも、美容師経営者は数字が得意ではないというのはわかるのですが、今では我々が開発したネクストボードを使えば、数字に弱い経営者でも簡単に把握できます。そういうツールを活用していないのが現状なので、勿体無いとは思います。

Q美容室経営OS「ネクストボード」では何ができるのですか?

今まで難しかった、美容室を数字で把握するというのが実現できます。

Q取締役CMOとして、具体的にどんな役割を担っていますか?

コンセプト設計はもちろん。数字で経営をしていると言いますが、ネクストボードで全部計算できるようにしてます。全てAIで経営していると言っても過言ではないです。

Q経営陣のなかでの役割分担を教えてください。

山口さんはCEOとして人と会うことがメイン。武口さんは美容師として現場で活躍してます。売上がコンスタントに200万です。

株式会社デキルファクトリーの経営体制は、代表取締役社長CEO 山口親太、取締役CMO 中戸大修、上級執行役員CPO 武口良樹。

「全てAIで経営していると言っても
過言ではないです」
取締役CMOとしての仕事
CHAPTER 05

これから|二極化する美容室業界

最後に、美容業界の先行きをどう見ているのか、そしてこれから何をしていきたいのかを聞いた。数字とAIで経営するという話の、その先にある景色について。

Qこれから美容業界はどうなると思いますか?

これから美容業界は二極化すると思います。安い美容室、高い美容室がそうなんですが、中途半端なマーケティングもせず値付けしているところがほとんどだと思います。そういったところは淘汰されるのではないでしょうか。

Q5年後、どうなっていたいですか?

今もそうなんですが、経営はAI、私は決断。これをもっとブラッシュアップしたいですね。

「経営はAI、私は決断」
これからについて

Qどんな人に相談してほしいですか?

悩んでる方がいれば誰でも。

COMPANY DATA
株式会社デキルファクトリー
所在地
東京都港区東新橋2-7-3 昭和アステック1号館2F
設立
2026年5月
役員
代表取締役社長CEO 山口親太
取締役CMO 中戸大修
上級執行役員CPO 武口良樹
プロダクト
ネクストボード(美容室の数字を把握するツール)
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まとめ|中戸大修が変えたのは「見る数字」だった

今回のインタビューで、中戸大修が繰り返し口にしたのは「数字」という言葉でした。破綻寸前の2店舗を引き継いだとき、最初にやめたのは新規が何人きたかで一喜一憂することです。代わりに見たのが、その後どれだけ継続したかというLTVでした。

新規獲得にお金がかかっても、後で取り返せばいい。それを感覚ではなく数字で経営陣に示したこと。そして白髪染めに特化した美容室というコンセプトを打ち出したこと。この二つが、破綻寸前だった2店舗を1年で10店舗へ広げる起点になりました。

いま中戸大修(ナカト ヒロノブ)は美容室11店舗を経営しながら、株式会社デキルファクトリーの取締役CMOとして、自社プロダクト「ネクストボード」の開発を進めています。数字が得意ではない美容師経営者でも、美容室を数字で把握できるようにするためのツールです。「経営はAI、私は決断」という言葉は、その延長線上にあります。

これから美容業界は二極化する、というのが本人の見立てです。中途半端なマーケティングもせずに値付けしているところは淘汰されるのではないか、と。裏を返せば、自分の店の数字を把握して、そのうえで値付けとコンセプトを決められる店には、まだ余地があるということでもあります。

相談してほしい人を聞いたとき、答えは「悩んでる方がいれば誰でも」でした。集客が媒体任せになっている、採用が続かない、売上はあるのに顧客の状態が見えない。同じ手応えのなさを感じているなら、いまの状態を言葉にするところからで構いません。

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中戸大修(なかと ひろのぶ)

事業家/美容室経営OS 開発者

大学卒業後、東芝に入社。26歳で独立し、金融、インターネットマーケティング、美容事業と幅広い分野で事業を展開。破綻寸前の2店舗を1年で10店舗に広げ、現在は美容室11店舗を経営。株式会社デキルファクトリー取締役CMOとして、美容室の数字を把握するツール「ネクストボード」の開発を進めている。株式会社デキルファクトリー 会社情報

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